書かなかったこと

ここまで、いろいろ書いてきた。

しかし、実際この学院が営業できなくなったのは
生徒の不満のせいではない。


生徒は1週間にしても1ヶ月、3ヶ月滞在
するにしても、初日に授業料を払ってしまえば
あとは、先生に愚痴をこぼすかオーナーに苦情を
言うくらいで何もできない。

学校が終わってしまえば、それらを
フィードバックする機会も空間もなく、
次の生徒へは受け継がれない。

しかし、先生は生徒が去ろうが
同じ場所に通い続けなくてはならない。


「人をみて態度を変える」と書いたが、
一番顕著なのは、日本人生徒へと台湾人教師への
扱いの違いだった。

どこで関係がこじれたのかは、知らない

しかし、対話がなかった
(ように見えたと一応)


日本からの生徒が減れば、授業の数も減る。
授業を減らされば、先生の給料も減る。

ただ先生を一人辞めさせれば、受け入れることが
できる日本人生徒の数は減る。

これは、当たり前だろう。



つまり、「学校維持のため」には
時には授業をゼロ、もしくは1日2時間、
忙しいときは、たくさん働いてくれる
「都合のいい」先生が必要だ。


先生たちも、一流企業に勤めているのでなく
この小さな小さな規模の学院
にいることは理解しているはずだ。

だから「対話」があれば、しっかりとした「人間関係」があれば、容易に解決できた問題だと思う。


しかし、そうでないためその「都合のいい」先生に
給与に関して、調停を求められた。

これが
オーナーの言葉をそのまま借りるなら、
「法外な金額の請求をすべく、脅迫をしてきております」
ということになる。


私は台湾の法律も、労働法も
「学院と先生との契約」も知らないので、
どちらが正しいのかわからない。



しかし台湾は「法治国家」であり
先生の請求が違法であるなら裁判で退けられるだろう。


この調停が行われたのが12月中旬であり、
オーナーは拒否された。

次は、台湾で裁判を待つ段階だった。

しかし2018年の1日4日に
台湾につくった法人を閉じ、自分の生徒を
他の学校へ預け、学校の閉鎖を発表した。


生徒も不満を言う場所はないが、
それ以上に先生たちには、ないだろう。

本当は、ここで
「オーナーに何された」「何を言われた」
という先生の声をそのまま書いてもいいが、
しかし学院はなくなった今、新しい生徒はもう来ない。

するとそれは「誰に知らせたいことなのか」?

ただの復讐になり、言った先生たちの人間の品格を
逃げたオーナーと同じ場所に置くことになるので
やめておく。


日本語ができる先生に「依存」して
成りたっていた学校が、先生を大事にしなければ
こうなることが、分からなかったのか?

生徒を日本から集める「自分が偉い」と
錯覚してしまったのか?